ロードバイクのタイヤの側面には、「690-830kPa」「100-120psi」のような小さな数字が刻まれていることがあります。
この数字が、そのタイヤの空気圧の答えの出発点です。
空気圧はタイヤ側面に刻印されている空気圧に従って管理するもの、というのがパナレーサーのよくある質問の答えです。
つまり、空気圧は「ロードバイクなら何気圧」と一律に決まるものではありません。
範囲はタイヤが決め、その範囲の中を体重とタイヤの幅で選ぶ、という順で考えると迷いにくくなります。
空気圧はまずタイヤ側面の表示で決まる
単位の読み替え方
側面の表示は、kPa(キロパスカル)、bar(バール)、psi(ピーエスアイ)のどれか、または併記で書かれています。
空気入れのゲージの単位と違うときは、読み替えが必要です。
換算の目安は1kgf/㎠=98kPa、1psi=6.86kPaで、パナレーサーのQ&Aにもこの数字が載っています。
barは1bar=100kPaなので、「7bar」なら700kPaと読めます。
タイヤだけでなくリムにも上限がある
もう1つ見落としやすいのが、ホイール(リム)側の上限です。
シュワルベのロードタイヤの技術資料では、リムの最大空気圧がタイヤより低い場合は、リムの上限に従うよう書かれています。
リムの上限は、ホイールのメーカーの資料やリムの表示で確かめます。
空気圧は、タイヤ側面の範囲の中で、リムの上限も超えない値にします。
上限いっぱいにすれば速くなる、というものではありません。
範囲の中では体重とタイヤの幅で選ぶ
範囲の中のどこにするかは、乗る人の体重とタイヤの幅で変わります。
シュワルベは、自社のタイヤ「Pro One TLE」について、体重別の空気圧の表を公開しています。
内幅19mmのリムに付けた場合の値で、一部を抜き出すと次のようになります。
| 体重 | 25mm幅・前 | 25mm幅・後ろ | 28mm幅・前 | 28mm幅・後ろ |
|---|---|---|---|---|
| 55〜59kg | 4.8bar | 5.0bar | 4.0bar | 4.2bar |
| 66〜70kg | 5.2bar | 5.8bar | 4.6bar | 4.8bar |
| 76〜80kg | 6.3bar | 6.8bar | 5.3bar | 5.8bar |
体重が重いほど高く、同じ体重なら28mm幅のほうが低くなっています。
どちらの幅でも、後ろを前より高くしているのが特徴です。
この例のように、前後を同じ値にそろえる必要はありません。
自分のタイヤで決めるときは、側面の範囲の中ほどから始め、乗り心地と段差での突き上げを見ながら少しずつ動かすと、自分の値が見つけやすくなります。
決めた値は前後別に記録しておくと、次からゲージを見るだけで済みます。
バルブの種類を先に確かめる
空気入れを使う前に、自分の自転車のバルブの形を確かめておきます。

自転車のバルブには、主に次の3種類があります。
- 英式:シティサイクルや折りたたみ自転車など、日本の多くの軽快車に使われています。
- 米式:一部のマウンテンバイクやBMXで使われています。
- 仏式:ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツ車に使われ、高い空気圧に向いています。
この分け方は、自転車用品メーカーのビーズが発表した製品資料の説明によります。
測りやすさにも差があり、英式は空気圧を正確に測れない一方、仏式と米式は空気圧ゲージで測れると、パナレーサーは説明しています。
ロードバイクでは仏式が多いので、ここからは仏式の扱い方を中心にします。
仏式バルブの部品
仏式バルブは、細い金属の軸の先に、指で回せる小さなネジが付いた形をしています。
このネジをゆるめないと、空気は入りません。
根元にはバルブをリムに留めるナット(リムナット)があり、締めるときは工具を使わず指で軽くが基本です(パナレーサーのQ&A)。
先端のキャップは、ゴミや水分が入るのを防ぎ、仏式のネジの破損を防ぐために付けておくものです。
米式やリムの穴の大きさが違う場合
米式のバルブは、先端の中心にあるピンを押すと空気が抜ける仕組みで、ネジをゆるめる手順はありません。
空気入れの口金には、仏式と米式を切り替えるものや、差し込むだけで両方に合うものがあるので、口金の説明を確かめてから使います。
また、米式・英式用のリムは、仏式用よりバルブを通す穴が大きく作られています。
その穴に仏式のチューブを使うなら、穴を小さくするスペーサーを挟みます。
パナレーサーのQ&Aでも紹介されている方法です。
すき間があるとバルブが傾きやすくなるため、チューブを買い替えるときは、リムの穴とバルブの形式が合っているかを先に確かめます。
自分で対応できる範囲と、ショップに見てもらう症状
空気を入れる作業そのものは、慣れれば自分でできます。
ただ、次のような症状が出ているときは、空気を足して様子を見るより、点検を受ける側に判断を倒します。
| 気づいたこと | 自分でしてよいこと | ショップに見てもらう目安 |
|---|---|---|
| 1日で目に見えて抜ける | 入れ直して、どこから抜けるか音で確かめる | 原因の穴が見つからない、何度も抜ける |
| バルブが曲がった、根元から漏れる | 走らずに空気を抜いておく | バルブ周りの修理やチューブの交換に自信がない |
| タイヤとリムの境目の線が一周そろわない | 空気を抜いてはめ直す | はめ直してもそろわない、ビードが浮く |
| ゲージの値が信用できない | 別のゲージで測り比べる | 空気入れの不具合か判断がつかない |
走行中に空気が急に抜けた、異音がする、ハンドルがとられる、といったときは、その場で走るのをやめて安全な場所に止まることを優先します。
仏式バルブに空気を入れる手順
バルブ先端のキャップを外し、なくさない場所に置きます。

先端の小さなネジを、止まるところまで反時計回りにゆるめます。
パナレーサーのQ&Aによると、先端を指で軽く押して少し空気を抜くと、空気の通りがよくなります。
空気入れの口金を、バルブに対してまっすぐ差し込みます。
斜めに差すと、細い仏式バルブを曲げてしまうおそれがあります。
口金のレバーで固定し、ゲージの針を見ながら、決めた空気圧まで入れます。
レバーを戻し、差したときと同じ向きにまっすぐ抜きます。
先端のネジを指で締め、キャップを付けます。
入れ終わったら、走り出す前に次の3つを確かめます。
- バルブがリムに対してまっすぐ立っている
- ゲージの値が、タイヤ側面の範囲の中にある
- 前後のタイヤを指で押して、片方だけ極端に柔らかくない
バルブが斜めになったまま放置すると、バルブの根元に負担がかかりパンクの原因になるためです(パナレーサーのQ&Aより)。
斜めになっていたら、空気を抜いてから位置を直します。
空気を入れる頻度は「乗る前に確認」
頻度について、パナレーサーのQ&Aに日数の決まりはなく、答えは走行前の確認です。
走りが重い、ハンドルの感じがいつもと違う、というときも、確かめるタイミングに挙げられています。
空気圧が低いまま走ると、段差でタイヤがつぶれてチューブがリムに挟まれるリム打ちパンクが起きやすくなります。
同じQ&Aによれば、リム打ちパンクはパンクの約6割を占めます。
段差を越えたあとに、チューブに「ハの字」の2つの穴があくのが特徴です。
タイヤやチューブを付け直したあとの入れ方
タイヤ交換やパンク修理のあとは、いきなり決めた値まで入れません。
パナレーサーが示す手順では、200〜300kPaまではゆっくり入れ、タイヤとリムの境目の線(リムライン)が一周そろったのを見てから、推奨の空気圧まで上げます。
線がずれている場所があれば、そこでタイヤがきちんとはまっていないので、空気を抜いてはめ直します。
空気入れはゲージ付きを1本持つ
空気圧を数字で管理するには、ゲージの付いた空気入れが要ります。

自宅用と出先用では、向いている形が違います。
| 種類 | 向いている場面 | 選ぶときに見る点 |
|---|---|---|
| ゲージ付きフロアポンプ | 自宅で乗る前に入れる | 仏式に対応しているか、ゲージの単位と目盛りの範囲 |
| 携帯ポンプ | 出先でのパンクのあと | 仏式対応か、サドルバッグやフレームに収まる大きさか |
小型のミニフロアポンプについては、成人男性で約500〜600kPaまで加圧できるという目安がパナレーサーから示されています。
出先では携帯ポンプで帰れるところまで入れ、家に戻ってからフロアポンプで合わせ直す、という使い分けが現実的です。
今日のうちに、前後のタイヤの側面を見て、刻まれた範囲を書き写してください。
この記事のどの数字よりも先に従うのは、その刻印の値です。



