ロードバイクを買って初めて30分ほど走ったあと、お尻が痛い、手のひらがしびれる、首の後ろがこわばる、という感覚が出ることがあります。
前かがみの姿勢で、細いサドルに座り、手でハンドルを支えるという乗り方は、普段の自転車と体の使い方が大きく違うからです。
この痛みは、慣れだけで片づくものとは限りません。
握る場所、ひじの曲げ方、サドルの位置で変わる部分があるので、まず乗り方の基本を押さえ、それでも続く痛みは位置の調整で見直します。
乗る前に確かめておく3つのこと
走り始める前に、次の3つだけは確かめておきます。
- 左右どちらのレバーが前輪のブレーキか(レバーを握ったまま車体を押して確かめる)
- ヘルメットをかぶり、あごひもを締めたか
- サドルの高さと向きが、購入したお店で合わせてもらった状態から動いていないか
ブレーキの左右は、車体によって前後の割り当てが違うことがあります。
思い込みで前輪のブレーキだけを強く握ると、前のめりになるおそれがあるので、自分の車体で一度確かめておきます。
ヘルメットは、道路交通法で、自転車を運転するときの着用が努力義務とされています(第63条の11第1項)。
着用しなくても反則金の対象にはなりませんが、警察庁のルールブックは、頭部を守るためにかぶるよう呼びかけています。
体の預け方の基本
ハンドルを握る場所は3つある
ドロップハンドルには、主に3つの握る場所があります。

| 握る場所 | どんなときに使うか | 気をつけること |
|---|---|---|
| ブラケット(ブレーキレバーの付け根) | いちばん長く握る基本の位置。 ブレーキと変速にすぐ手が届く | 手のひらに体重をかけすぎない |
| ハンドルの上側(フラットな部分) | 上り坂や、体を起こして楽に走りたいとき | ブレーキに手が届きにくいので、交通の多い場所では避ける |
| 下側(下ハンドル) | 向かい風、下り坂、スピードが出るとき | 前傾が深くなるので、慣れるまでは短い時間にとどめる |
普段はブラケットを握り、ときどき握る場所を変えると、手や肩の同じ場所に負担がかかり続けるのを避けやすくなります。
ひじを軽く曲げ、目線は先へ
腕を突っ張ると、路面からの振動が手首、肩、首にそのまま伝わります。
ひじを軽く曲げ、肩の力を抜いて、上半身の重さを腕だけで支えないようにします。
目線は前輪のすぐ先ではなく、進む方向の少し先に置くと、首を無理に反らさずに周りの状況も見やすくなります。
変速の基本
ロードバイクの変速は、多くの車体で次のように操作します。

| 操作する手 | 動く場所 | 変わること |
|---|---|---|
| 右手 | 後ろのギア(スプロケット) | 細かく軽くしたり重くしたりする |
| 左手 | 前のギア(チェーンリング) | 大きく軽くしたり重くしたりする |
電動の変速や一部のメーカーの製品は、操作の割り当てが違うことがあるので、自分の車体の取扱説明書で確かめます。
変速のときは、次の点を意識します。
- ペダルを回しながら変速する:止まった状態でレバーを操作しても、チェーンは動きません。
- 強く踏み込んでいる最中は避ける:坂の途中で急に変速するより、坂の手前で軽くしておきます。
- 止まる前に軽いギアにしておく:信号で止まったあとに、軽いギアで楽に走り出せます。
- チェーンが大きく斜めになる組み合わせを避ける:「前の大きいチェーンリング×後ろのいちばん大きい歯車」と、「前の小さいチェーンリング×後ろのいちばん小さい歯車」の2通りです。
どちらも音が出たり、こすれたりしやすくなります。
ケイデンスは「脚を回す速さ」
ケイデンスは、1分間にペダルを何回転させたかを表す言葉です。
同じ速さで走るとき、重いギアをゆっくり踏む乗り方と、軽いギアで速く回す乗り方では、脚の疲れ方や息の上がり方が変わります。
初めのうちは、脚だけが先にパンパンになるほど重いギアを踏み続けないことを意識すると、長く乗りやすくなります。
ケイデンスを数字で知りたい場合は、ケイデンスを測れるサイクルコンピューターやセンサーを使います。
止まる・曲がるときの基本
ブレーキは早めに、前後を一緒に
ロードバイクは軽く、普段の自転車より速度が出やすい乗り物です。
止まりたい場所の手前から、前後のブレーキを同時に、少しずつ強く握るのが基本です。
下り坂では、速度が上がりきる前から軽くブレーキをかけ、カーブの手前で減速を済ませておきます。
カーブの途中で急に強く握ると、タイヤが滑りやすくなります。
雨の日や路面がぬれている日は、晴れの日と同じ感覚で止まれないことがあるので、いつもより早めに減速を始めます。
交差点での止まり方と右折
一時停止の標識がある交差点では、停止線があればその直前、なければ交差点の直前で一時停止します(道路交通法第43条)。
右折は、道路の左側端に寄って交差点の端に沿って進む、いわゆる二段階右折です。
警察庁のルールブック(令和7年9月)の整理では、令和8年4月1日からの青切符の制度で、16歳以上の自転車の二段階右折の違反は反則金(3,000円)、信号のある交差点で二段階右折をしなかった場合は信号無視として反則金(6,000円)の対象になります。
車と同じように右折レーンに入って曲がるのではなく、まっすぐ渡ってから向きを変えると覚えておくと迷いません。
信号待ちの止まり方と再発進
信号で止まるときは、止まる前に軽いギアにしておきます。
止まったら片足を地面に着き、もう片方の足はペダルに乗せたままにします。
走り出すときは、踏み出す側のペダルを少し前の高い位置に戻してから踏み込むと、ふらつかずに加速できます。
青になってすぐ踏み出さず、左右と後ろを見て、交差点を曲がってくる車がないかを確かめてから走り出します。
お尻・手・首が痛いとき
- お尻が痛いのは、慣れるしかない?
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慣れで軽くなる部分もありますが、サドルの高さ・前後の位置・角度や、ウェアで変わることもあります。
パッド付きのサイクルパンツは、下着を着けずに直接はくもの、というのがウェアメーカーのパールイズミの説明です。
下着の縫い目や生地の厚みで、摩擦が起きるのを避けるためです。
30分ごとに一度サドルから腰を浮かす、休憩をはさむ、といった工夫でも楽になることがあります。
- 手のひらや指がしびれる
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ハンドルに体重がかかりすぎている、同じ場所ばかり握っている、といった乗り方が関係していることがあります。
握る場所をこまめに変え、ひじを軽く曲げることを試します。
パッド付きのグローブも、手のひらへの当たりをやわらげる手段の1つです。
- 首や肩がこる
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目線が近すぎる、ハンドルが遠すぎたり低すぎたりする、といった姿勢や位置が関係していることがあります。
肩の力を抜き、目線を少し先に置くことから試し、それでも続く場合はハンドルの位置を見直します。
ここで挙げた工夫は、乗り方で試せる範囲のものです。
痛みが乗るたびに続く、しびれが降りてからも取れない、といった場合は、我慢して乗り続けないでください。
サドルやハンドルの位置の見直しはショップのフィッティングで相談でき、体の症状が続く場合は医療機関に相談してください。
最初の練習の進め方
最初の数回は、距離より「止まる・曲がる・変速する」に慣れることを目的にします。

車や歩行者の少ない、見通しのよい平らな道を選びます。
自転車は、歩道と車道の区別がある道路では車道の左側通行が原則です(警察庁「自転車安全利用五則」)。
軽いギアで走り出し、前後のブレーキを同時に、少しずつ強く握って止まる動作をくり返します。
ペダルを軽く回しながら、右手で後ろのギアを1段ずつ動かし、軽さ・重さの変わり方を体で覚えます。
30分程度の距離から始め、痛みや疲れの出方を見ながら少しずつ伸ばします。
次に乗ったとき、痛みは走り始めて何分ごろ、体のどこに出たでしょうか。
その2つが分かれば、サドルやハンドルの位置をショップで相談するときの出発点になります。




