走っている途中で、後輪から「ゴトゴト」と路面の段差を拾うような振動が伝わってきたり、ハンドルが急に重くなったりしたら、パンクを疑います。
そのまま走り続けると、タイヤやリムまで傷めることがあります。
まずは安全な場所に止まり、直せる状況かどうかを決めるところから始めます。
ここで扱うのは、タイヤの中にチューブを入れて使う一般的な形式(クリンチャー)のパンクです。
チューブを使わないチューブレスや、タイヤとチューブが一体のチューブラーは、直し方が違います。
パナレーサーのQ&Aでは、チューブラーの修理には熟練が必要で、基本的には交換を勧めるとしています。
パンクに気づいたら、まず止まる場所を選ぶ
止まる場所は、車道から離れられて、作業中に人や車の通行を妨げないところを選びます。
交差点の近くやカーブの途中、路肩の狭い場所は避け、自転車を押して少し移動します。
作業中にしゃがんでいる自分は、後ろから来る車から見えにくくなるからです。
暗い時間なら、ライトを点けたままにしておくと、周りから見つけてもらいやすくなります。
出先で直すか、押して帰るかの判断
その場で直せるかどうかは、持ち物とタイヤの状態で決まります。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 予備チューブと携帯ポンプがあり、タイヤに大きな傷がない | その場でチューブを交換して帰る |
| 予備チューブはないが、パッチと携帯ポンプがある | 穴を見つけてパッチで直す |
| タイヤの側面が裂けている、中のチューブが見える | 直しても走らない。 押して帰るか、迎えや移動手段を手配する |
| リムが曲がった、へこんだ、異音がする | 走らない。 ショップで点検を受ける |
| 暗い、雨が強い、交通量が多いなど作業が危ない | 安全な場所まで押して移動してから考える |
タイヤの側面の裂けやリムの傷みは、チューブを替えても解決しません。
無理に走ると、またすぐにパンクするか、走行中に空気が急に抜けるおそれがあります。
出先で直すために持っておきたいもの
その場で直す選択肢を持つには、最低限の道具が要ります。

- 予備チューブ1本:タイヤのサイズとバルブの形式・長さが合うもの
- タイヤレバー2本
- 携帯ポンプ:仏式に対応しているもの
- パッチ:予備チューブを使い切ったときの保険
道具を持っていても、使ったことがなければ道端で手が止まります。
一度は家で、時間を気にせずにチューブ交換を通しで試しておくと、出先での作業時間も判断の速さも変わります。
パンクの原因を探す
直す前に原因を見つけておかないと、新しいチューブもすぐに同じ目にあいます。
穴の形と場所で見分ける
チューブを取り出したら、少し空気を入れて、どこから抜けるかを音や手のひらの感触で探します。
家で作業するなら、水を張った容器にチューブを少しずつくぐらせ、泡が出る場所を探すと、小さな穴も見つけやすくなります。
- 2つの穴が「ハの字」に並ぶ:段差でタイヤがつぶれ、チューブがリムに挟まれたリム打ちパンクです。
パナレーサーのQ&Aでは、パンクの約6割がこれだとされています。 - 小さな穴が1つ:ガラス片や金属片などの異物が刺さった可能性があります。
- バルブの根元が裂けている:バルブが斜めになったまま走ったときに起きやすい傷です。
- リム側(内側)に穴がある:リムテープのずれや切れで、ニップル穴の縁にチューブが当たった可能性があります。
タイヤ側に残った原因を取り除く
穴の位置が分かったら、チューブとタイヤを並べて、同じ位置のタイヤを内側と外側から確かめます。
刺さったものが残っていれば、指先を守りながら取り除きます。
タイヤの内側は、素手でこすらず布でゆっくりなぞると、残った破片に気づきやすくなります。
リム側の穴なら、リムテープがずれてニップル穴が出ていないかも見ておきます。
予備チューブに交換する手順
出先では、穴をふさぐより予備チューブへの交換のほうが早く、確実です。

後輪なら、ギアを一番外側に入れてからブレーキの解除レバーを開き、軸をゆるめて外します。
空気を抜き切ってから、タイヤレバーで片側のビードだけを外し、チューブを抜きます。
タイヤの内側に刺さったものが残っていないかを確かめます。
形が出る程度に空気を入れたチューブを、バルブから順に入れ、ビードを手ではめます。
後輪は、チェーンを後ろのいちばん小さい歯車に掛けてから、エンドに落とし込みます。
ハブの軸が、フレームやフォークの受け(エンド)の奥まで収まっていることを確かめます。
クイックリリースは、フレームやフォークから90°の位置でレバーに抵抗を感じ始めるくらいまで反対側のナットを締めておくのが、Park Toolの示す目安です。
スルーアクスルは、軸やフレームに書かれた値、メーカーの資料の値で締めます。
油圧ディスクブレーキの車体は、ホイールを外している間にブレーキレバーを握らないようにします。
リムブレーキの車体は、空気を入れる前に解除レバーを元に戻します。
低めの空気圧まで入れ、チューブを挟んでいないか、タイヤとリムの境目の線がそろっているかを見てから、決めた値まで入れます。
携帯ポンプでは高い空気圧まで入れにくいので、帰れる程度まで入れ、家に戻ったらフロアポンプで合わせ直します。
パッチで穴をふさぐ手順
パッチ修理は、家に帰ってからゆっくり行うときや、予備チューブを使い切ったときに役立ちます。

ここで扱うのは、接着剤が最初から付いているパッチ(ゴムのりを塗らないタイプ)です。
ゴムのりを使うタイプは、付属の説明書の手順に従ってください。
手順は、パナレーサーの接着剤付きパッチ(イージーパッチ)の注意をもとにまとめています。
空気が抜ける場所を探し、ペンなどで穴の位置に印をつけます。
穴の周りの汚れと水分をしっかり拭き取ります。
ガソリンやシンナーなどの有機溶剤は使いません。
接着面には触れないようにし、保護紙をはがしたらすぐに、穴の中心に合わせて貼ります。
パッチの縁まで指でしっかり押さえて、浮いているところがないようにします。
少し空気を入れて、パッチの周りから空気が漏れないかを確かめてからタイヤに戻します。
長く保管していたパッチは、接着力が落ちていることがあります。
また、パナレーサーによると、接着剤付きのイージーパッチは大きな穴に重ねて貼っても効果がありません。
大きく裂けたチューブは、パッチで直そうとせず交換します。
| 比べる点 | 予備チューブに交換 | パッチで修理 |
|---|---|---|
| かかる時間 | 短い | 穴探しと貼る手間がかかる |
| 出先での確実さ | 高い | 穴が見つかれば直せる |
| 持ち物 | 予備チューブ、タイヤレバー、携帯ポンプ | パッチ、タイヤレバー、携帯ポンプ |
| 向いている場面 | 走行中のパンク | 家での修理、予備を使い切ったとき |
同じところがまたパンクする場合
- 直したばかりなのに、また空気が抜けるのはなぜ?
-
タイヤに刺さったものが残っている、パッチがきちんと密着していない、新しいチューブを入れるときに挟んだ、などが考えられます。
もう一度チューブを外し、穴の位置とタイヤの同じ位置を照らし合わせて確かめます。
- リム打ちパンクを繰り返すときは?
-
パナレーサーは、推奨の空気圧を守る、強化チューブや耐リム打ち対策のタイヤを使う、太めのタイヤにする、といった対策を挙げています。
まずはタイヤ側面の表示の範囲で空気圧が足りているかを確かめます。
- いつもチューブの内側(リム側)に穴があく
-
リムテープのずれや切れ、幅が合っていないことが考えられます。
リム底の幅に合ったリムテープを選び、貼るときに強く引っ張って伸ばさないことが、パナレーサーのQ&Aに挙がっている対策です。
パンクを減らすための日ごろの習慣
パンクをゼロにする方法はありませんが、起きる回数を減らす工夫はあります。
- 乗る前に空気圧を確かめる:空気圧不足は、リム打ちパンクにつながります。
- タイヤの表面をひと回り見る:刺さりかけの小石やガラス片を、パンクの前に取り除けます。
- リムテープを点検する:パナレーサーは約5,000kmでの点検を目安にしています。
- 段差の手前で速度を落とす:段差に勢いよく乗り上げると、タイヤがつぶれやすくなります。
空気圧の確認とタイヤの目視は、乗る前の1分でできるので、出かける前の習慣にしておくと続けやすくなります。
直したあとの確認と、ショップに頼む目安
修理を終えたら、走り出す前に次の順で確かめます。
| 確かめること | 見る点 |
|---|---|
| タイヤ | タイヤとリムの境目の線が一周そろっている |
| バルブ | リムに対してまっすぐ立っている |
| ホイールの軸 | 奥まで収まり、クイックリリースやスルーアクスルが締まっている |
| ブレーキ | 解除レバーが戻っていて、低速でかけると効く |
出先で直したチューブやタイヤは、家に戻ったらもう一度空気圧と傷を確かめます。
その場では見落としていた小さな傷が、あとから見つかることもあります。
次のような場合は、自分で直すのをやめて、ショップに点検を頼みます。
- 原因が分からないまま、短い間に何度もパンクする
- タイヤの側面が裂けている、糸が見えている
- リムがへこんでいる、ブレーキをかけると振動する
- 自分ではめたタイヤの線がどうしてもそろわない
使った予備チューブとパッチは、その日のうちに補充します。
次のパンクでその場で直せるかどうかには、サドルバッグの中身が大きく関わります。





