ロードバイクのチェーンは、11速以上なら0.5%伸びたら交換、というのが、工具メーカーPark Toolの示す目安です。
10速以下なら0.75%で、どちらも見た目では分からない差です。
チェーンの交換時期は、走った距離や年数ではなく、道具で伸びを測って決めます。
距離や年数だけでは、乗り方や天気による減り方の差を拾えないからです。
チェーンの「伸び」は摩耗のこと
チェーンが伸びるといっても、金属の板そのものが引き伸ばされるわけではありません。
実際には、ピン(リベット)とローラーがすり減ることで、伸びたように見えるのだと、Park Toolは説明しています。
すり減ったチェーンは、後ろのスプロケットや前のチェーンリングの歯とかみ合いにくくなり、変速の調子が悪くなります。
さらに、使用限界を超えたチェーンを使い続けると、スプロケットやチェーンリングまで早くすり減るという注意もあります。
チェーンだけの交換で済む時期に替えるほうが、結果的に費用を抑えられます。
チェーンの伸びの測り方
チェーンチェッカーで測る
手軽で、判定もはっきりしているのが、チェーンチェッカー(チェーンの摩耗を測る専用の工具)です。

製品によって、0.5%と0.75%の2段階で判定できるものや、摩耗の割合を目盛りで読めるものがあります。
使い方は製品ごとに違うので、チェッカーの説明書の手順どおりに当てます。
定規で測る
チェッカーがない場合は、定規でも確かめられます。
Park Toolが紹介しているのは、1つのピンを定規のゼロに合わせ、そこから24個先のピンが12インチ(約30.5cm)の位置に来るかを見る方法です。
12インチの位置から1/16インチ(約1.6mm)以上ずれていたら交換の目安です。
この1/16インチは12インチの約0.5%にあたるので、0.5%付近を見分ける大まかな目安と考えます。
10速以下の車体は、メーカーが示す基準(0.75%など)に従います。
ギアの段数ごとの目安をまとめると、次のようになります。
| 後ろのギアの段数 | 交換の目安(Park Toolの解説) |
|---|---|
| 11速以上 | 0.5% |
| 10速以下 | 0.75% |
| 変速のない自転車(シングルスピード) | 1.0% |
Park Tool自身も、自分の車体のコンポーネントのメーカーが示す目安を確かめるよう書いています。
測るときのコツと記録
チェーンのすり減り方は場所によって少しずつ違うので、1か所だけでなく、チェーンを送りながら数か所で測ると判断を誤りにくくなります。
測った日と結果を、スマートフォンのメモなどに残しておきます。
「前回はまだ余裕があった」「今回は0.5%に近づいた」と変化が分かると、交換用のチェーンを前もって用意でき、交換時期を逃しにくくなります。
作業の範囲を先に決める
チェーン交換では、チェーンを切る工具、つなぐための専用ピンやクイックリンク、長さの合わせ方など、車体ごとに合わせる点が多くあります。
工具がない、段数に合う部品が分からない、という場合は、無理をせずショップに任せてください。
つなぎ目が不完全なまま走ると、走行中にチェーンが外れて転倒につながるおそれがあります。
掃除から交換まで、作業ごとの目安を分けると次のようになります。
| 作業 | 目安 |
|---|---|
| 掃除と注油 | 自分で行いやすい |
| 伸びの測定 | チェッカーか定規があれば自分でできる |
| チェーンの交換 | 段数に合う部品と工具、説明書がそろうなら。 不安ならショップへ |
| スプロケット・チェーンリングの摩耗の判断と交換 | ショップに相談 |
| 変速の調子が戻らない | ショップで調整を受ける |
チェーンの掃除と注油の手順
伸びを測って交換時期を過ぎていたら、掃除をするより交換を先に考えます。

掃除の前に摩耗を確かめる順番は、Park Toolの手順と同じです。
掃除を考えたいタイミング
掃除の頻度は、走る距離や天気で大きく変わるので、回数よりチェーンの状態で決めます。
- 指でチェーンに触れると、黒い汚れがべったり付く
- ペダルを回すと、シャリシャリ、キュルキュルといった音がする
- 雨の中や、ぬれた路面を走ったあと
- 変速したときに、以前よりチェーンの動きがもたつく
雨のあとに放っておかず、乾いたら注油まで済ませておくと、さびや汚れの固まりを防ぎやすくなります。
作業する場所の準備
洗浄剤やオイルは床に落ちやすいので、作業場所の下に段ボールなどを敷いておきます。
洗浄剤を使うときは、手袋とエプロンを着けるよう勧められています(Park Toolの解説より)。
使い終わった洗浄剤は、住んでいる地域の決まりに従って処分します。
後ろはいちばん小さい歯車(外側)、前は小さいほうのチェーンリング(内側)に入れておきます。
Park Toolのチェーンクリーナーを使う手順でも、この位置にしてから作業を始めます。
チェーン用の洗浄剤やチェーンクリーナー(ブラシ付きの容器)を使い、クランクを逆回転させながら汚れを落とします。
洗剤を使う場合は中性のものを選び、さび落としのような強い酸性・アルカリ性の洗浄剤は避けます。
あわせて、前のチェーンリング、後ろのスプロケット、リアディレイラーの小さな歯車(プーリー)の汚れも拭き取ります。
洗浄剤を流したら、乾いた布で拭くか、自然に乾かします。
チェーン用のオイルを、ピンの1つずつに小さく1滴ずつ垂らします。
クランクを何回か回してなじませたら、外側に残ったオイルを乾いた布で拭き取ります。
余分なオイルは、ほこりを呼ぶもとになります。
オイルの選び方
チェーン用のオイルには、雨の日向け、乾いた路面向けなど、用途を示した製品がいくつもあります。
どれを選ぶ場合も、その製品に書かれた用途と使い方に従うのが基本です。
迷ったら、普段走る天気と、掃除の頻度を基準に選びます。
オイルは多めに差したほうが長持ちする?
そうとは限りません。
外側に残ったオイルはほこりや砂を集め、汚れの固まりになります。
ピンに1滴ずつ差し、外側は拭き取る、という手順が基本です。
チェーン交換の注意
チェーンをつなぐクイックリンクについては、一度外したものは再使用しません。
チェーンを新しくするときは、付属している新品のクイックリンクを使います。
シマノの取扱説明書でも、一度外したクイックリンクは再使用しないよう警告されています。
製品によっては、クイックリンクを外すのに専用の工具が要るものもあります。
長く伸びたチェーンを新しいものに替えると、すり減ったスプロケットとかみ合わず、ペダルを踏むと歯が飛ぶことがあります。
そうした場合は、スプロケットやチェーンリングも一緒に替える必要があるので、ショップで相談します。
新しいチェーンを選ぶときに合わせる点
自分でチェーンを買う場合は、次の点を今のチェーンや車体と合わせます。
- 後ろのギアの段数:11速の車体には11速用、12速の車体には12速用のように、段数に合ったチェーンを選びます。
- コンポーネントのメーカーの適合:メーカーが公開している適合表で、組み合わせてよいチェーンを確かめます。
- つなぎ方:専用ピンでつなぐタイプか、クイックリンクでつなぐタイプかで、必要な工具が変わります。
- 長さ:新しいチェーンは長めに作られていることが多く、車体に合わせて切る必要があります。
長さの合わせ方を間違えると、変速の不調やディレイラーの破損につながることがあるので、長さに自信がなければ、この工程だけでもショップに任せます。
掃除や交換のあとに確かめること
チェーンに手を入れたあとは、走り出す前に次の点を確かめます。
| 確かめること | 見る点 |
|---|---|
| ブレーキ | シュー、パッド、ローター、リムのブレーキ面にオイルや洗浄剤が付いていない |
| つなぎ目 | 交換した場合、クイックリンクや専用ピンが説明書どおりに収まっている |
| 変速 | ペダルを回しながら全部の段に変速でき、チェーンが外れない |
| 音 | 回したときに、引っかかる音や歯が飛ぶ感触がない |
1つでも気になる点が残る場合は、試し乗りで確かめようとせず、ショップで見てもらってください。
チェーンの不具合は、踏み込んだ瞬間に外れることがあります。
チェーンが外れたとき
走行中にチェーンが外れたら、まず安全な場所に止まります。

- 前のチェーンリングの内側に落ちた場合は、手でチェーンを小さいほうのチェーンリングにかけ、後輪を浮かせてペダルをゆっくり回します。
- 後ろのスプロケットの外側や内側に落ちた場合は、ホイールのスポークとの間に挟まっていないかを確かめてから、手でかけ直します。
- 挟まって動かないときは、無理に引っ張らずに押して帰ります。
何度も外れる場合は、変速の調整やチェーンの長さに原因があることがあります。
その場合は、ショップで変速の調整を受けてください。
注油を終えたら、ブレーキのシューやパッド、ローターにオイルが飛んでいないかを見てください。
ディスクブレーキのパッドに付いたかもしれないときは、拭いて済ませずに、その日は乗らずにショップへ相談します。





