ビンディングペダルに替えたばかりの人がよく心配するのが、信号で止まったときに足がペダルから外れず、そのまま横に倒れてしまう「立ちごけ」です。
立ちごけを減らすうえで大切なのは、外れる強さの設定と、止まる前に外す習慣です。
ペダルの種類と違い
ロードバイクで使われるペダルは、大きく3つに分かれます。

| 種類 | 靴 | 歩きやすさ | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| フラットペダル | 普段の靴でよい | 普段どおり歩ける | 街乗り、乗り始めの時期 |
| SPD(2つ穴のクリート) | SPD対応のシューズ | クリートが靴底に埋まる形のものがあり、歩きやすい | ツーリング、通勤、自転車を降りて歩く場面が多い使い方 |
| SPD-SL(3つ穴のクリート) | ロード用のシューズ | 靴底からクリートが出るので歩きにくい | 長い距離、速めのペースで走る使い方 |
ビンディングペダルは、シューズの裏に付けたクリート(金具や樹脂の部品)をペダルにはめて固定する仕組みです。
外すときは、かかとを外側にひねるとクリートが外れる作りです(ドイツの自転車メーカーCanyonの取扱説明書より)。
シューズとクリートの穴の数(2つ穴か3つ穴か)が合わないと取り付けられないので、ペダルとシューズは同じ方式でそろえるのが前提です。
ペダルが付属しない車体を選ぶ場合は、シューズとペダルのぶんも予算に入れる必要があり、考え方は「安いロードバイクで後悔しないために、予算別の中身と追加費用の早見表」にまとめています。
SPDとSPD-SLで迷ったときの目安。
自転車を降りて歩く時間が長い、通勤や観光にも使う → SPD。
舗装路を長く走るのが中心で、降りて歩くことは少ない → SPD-SL。
どちらも、まず止まった状態での練習から始める点は同じです。
初めてのビンディングで決めておくこと
フロート(足の左右の遊び)
クリートには、はめたまま、かかとが左右に少し動ける「フロート」を持つものがあります。
ひざに不安のある人は、フロートのあるペダルの仕組みを選ぶよう、Canyonの説明書は勧めています。
シマノのSPD-SL用クリートは、遊びの違いで3種類が用意されています。
| クリート | 色 | 遊びの種類 |
|---|---|---|
| SM-SH10 | 赤 | 固定タイプ(遊びなし) |
| SM-SH11 | 黄 | 6度フロートタイプ |
| SM-SH12 | 青 | 2度フロントセンターピボットタイプ |
ペダルに付属するクリートの種類は製品によって違うので、箱や仕様で付属のクリートを確かめれば、別に買い足す必要があるかが分かります。
外れる強さ(解放の強さ)の調整
多くのビンディングペダルは、クリートが外れるときの強さを調整できます。
練習不足や、外れる強さがきつすぎることは、外せずに転ぶ原因になります(同説明書より)。
使い始めは、ペダルの説明書の範囲で弱めの設定にしておき、慣れてから少しずつ調整する方法が取り入れやすいです。
調整のねじの位置と回す向きは製品で違うので、自己流で回さず、説明書の図で確かめます。
シューズとクリートの合わせ方
シューズは、乗るときの靴下で試着する
ビンディングシューズは、ふだんの靴より足にぴったり合わせる作りのものが多くあります。
試着のときは、自転車に乗るときにはく靴下を持っていき、つま先とかかとに当たるところがないかを確かめます。
- クリートの穴: 2つ穴(SPD)か3つ穴(SPD-SL)か、両方に対応するか
- サイズの表記: メーカーによって表記が違うので、cmの表示を確かめる
- 留め方: ダイヤル式、面ファスナー、ひもなどで、走りながら締め直しやすいか
シューズは、使うペダルの方式に合うものを選ぶのが前提なので、ペダルを先に決めてからシューズを選ぶと、穴の方式で迷いません。
クリートの位置は、足の親指の付け根が目安
ビンディングペダルの利点として、Canyonの説明書は足の親指の付け根(母趾球)がペダルの軸のちょうどよい位置に来ることを挙げています。

クリートの位置を合わせるときも、この母趾球とペダルの軸の位置関係が出発点になります。
位置を変えたあとにひざや足に痛みが出るときは、自分で何度も動かさず、ショップで合わせてもらうほうが早く落ち着きます。
降りて歩く場面にも気をつける
靴底から出ているクリートは、つるつるした床やタイルの上で滑りやすくなります。
コンビニや駅に立ち寄ることが多いなら、クリートカバー(クリートにかぶせる部品)を持ち歩く方法や、歩きやすいSPDを選ぶ方法があります。
外し方の練習の手順
初めて走る前に、止まった状態ではめる・外すを練習し、壁などに寄りかかって倒れないようにすることが勧められています。

壁や柱に片手をついて体を支え、片足ずつクリートをはめます。
「カチッ」という音と手応えがあれば固定された合図です。
足首から先を回すように、かかとを外側へひねって外します。
左右それぞれ、迷わず外せるまで何度もくり返します。
広い場所でゆっくり走り、止まる前に片足を外して地面につく動きを練習します。
止まるときに先に外す足を、どちらか一方に決めれば、とっさのときに迷いにくくなります。
道路の左端に寄って止まることが多いので、左足を外して地面につく形にしておくと動きがそろいます。
立ちごけを減らす習慣は、止まる直前ではなく、止まると決めた時点で片足を外しておくことです。
信号の手前や、混雑した交差点に近づいたら、早めに外しておきます。
ペダルの付け外しと、ショップに任せる線引き
左右の向きの取り違えや、クランクのねじ山を傷めることが不安なら、ペダルの取り付けはショップに任せてください。
締め付けの値は、ペダルやクランクの説明書に書かれた値に従います。
ペダルの取り付けには、ねじの向きに独特の決まりがあります。
工具メーカーのPark Toolは、次のように説明しています。
- 右側のペダル: ふつうのねじ(右ねじ)で、時計回りに締まる
- 左側のペダル: 逆ねじ(左ねじ)で、反時計回りに締まる
- 軸やスパナを掛ける面に「L」「R」の刻印があることが多い
- 取り付ける前に、ねじ山にグリースをたっぷり塗る
左右を取り違えたり、斜めにねじ込んだりすると、クランク(ペダルを付ける腕)のねじ山を傷めます。
ねじ山が傷んだ場合、Park Toolは専用の工具で整えられることもあるものの、削れた金属は戻らず、使えるねじ山が残っていなければプロに修理用の部品の取り付けを頼むよう案内しています。
自分でやってよいのは、次の範囲です。
- 左右の向きと締め付けの値を確かめたうえでの、ペダルの付け外し
- 説明書どおりに位置を合わせる、クリートの取り付け
- 説明書の範囲で少しずつ行う、外れる強さの調整
ショップに任せたいのは、次のような場合です。
- ペダルが固くて回らない、ねじが斜めに入る感触がある
- クリートの位置が決まらない、ひざや足に痛みが出る
- 調整しても外れ方が安定しない
回すときに引っかかりを感じたら、無理に締めずに作業を止めるのが、ねじ山を守る近道です。
出先でペダルやクリートのねじが緩んだときに備える工具は、「ロードバイクの携帯品チェックリスト、サドルバッグと携帯工具の中身」で取り上げています。
ペダル選びでよく出る疑問
- 最初はフラットペダルでもいい?
-
乗り始めの時期をフラットペダルで過ごす人もいます。
ただしCanyonの説明書のように、ロードバイクにはビンディングペダルを使うよう書いているメーカーもあり、小さいサイズのフレームでは、つま先が前輪に当たるおそれにも触れています。
自分の車体の説明書にペダルの扱いが書かれていれば、それがメーカーの前提です。
- 片面がフラット、片面がビンディングのペダルは?
-
街乗りと兼用しやすい作りですが、Canyonの説明書は、ロードバイクとグラベルバイクにはこの両面タイプを使わないよう書いています。
使う場合は、車体のメーカーの説明書で扱いを確かめてください。
- クリートはいつ交換する?
-
同じ説明書は、すり減ったクリートは、勝手に外れたり、外しにくくなったりして事故の原因になると注意しています。
交換の目安はペダルやクリートのメーカーの案内に従い、はめたときの手応えが変わったら早めに点検します。
ビンディングに替えた最初の1週間は、交通量の少ない道を選んで、止まる回数を多めに練習するだけで、外す動きが体に入っていきます。







