身長170cmの人が2つのメーカーのサイズ表を開くと、ジャイアントでは「S」、アンカーでは「470」という、まったく違う書き方の答えにたどり着きます。
どちらも、そのメーカーが170cm前後の人に向けて用意したサイズです。
ところが2台の寸法を並べると、ハンドルの高さを決める寸法に約3cm前後の差があります(測り方の前提により2.8〜3.8cm)。
身長の表で分かるのは「候補のサイズ」までで、乗る姿勢はモデルごとの寸法で決まるというのが、サイズ選びの出発点です。
サイズの書き方は、メーカーごとに違う
アルファベットで書くメーカーと、数字で書くメーカー
ジャイアントのロードバイクは、XS・S・M・MLのようにアルファベットでサイズを示しています。
ブリヂストンのアンカーは、390・430・470・510のように、フレームの寸法(mm)をそのままサイズの名前にしています。
数字のサイズは身長ではなく、フレームの長さを表す数字です。
「470」を見ても身長と結びつけず、同じページの適正身長の欄を確かめます。
同じ「S」でも、メーカーが違えば中身が違う
アルファベットの表記には、メーカーをまたいで共通の基準があるわけではありません。
あるメーカーのSと別のメーカーのSは、合う身長の範囲も寸法も別物と考えておくと、取り違えを防げます。
知人から譲ってもらう車体や中古の出品では、「Sサイズです」と聞いただけでは合うかどうか分かりません。
メーカー名・モデル名・年式まで分かれば、そのモデルのサイズ表で確かめられます。
身長別の目安を、2つのメーカーの表で比べる
ジャイアントの国内公式サイトに載っているTCR Advanced SL Disc(2024年モデルのフレームセット)と、ブリヂストンサイクルの公式サイトに載っているアンカーRE6のサイズ表から、身長ごとに範囲に入るサイズを拾いました。
| 身長 | ジャイアント TCR Advanced SL Disc(2024) | アンカー RE6 |
|---|---|---|
| 150cm | 範囲外(XSの下限は157cm) | 390 |
| 155cm | 範囲外 | 390・430 |
| 160cm | XS | 430 |
| 165cm | XS・S | 430・470 |
| 170cm | S | 470 |
| 175cm | S・M | 470・510 |
| 180cm | M・ML | 510 |
| 185cm | ML | 510 |
165cmや175cmのように、境目の身長では2つのサイズが候補になります。
150cm台では、モデルによっては用意されたサイズの範囲から外れることもあります。
ここに挙げたのは2つのモデルの例で、身長の目安はメーカーごと・モデルごとに異なります。
ジャイアントのページにも「適応身長はあくまでも参考値であり、適合を保証するものではありません」と書かれています。
買う予定のモデルのサイズ表を、そのつど確かめてください。
股下の長さも一緒に見る
アンカーRE6の表には、身長に加えて股下の目安も載っています。

たとえば470は、身長163〜176cm、股下74.5〜82.2cmです。
同社は、適正身長を股下の寸法やフレームの寸法から算出したと注記しています。
同じ身長でも脚の長さは人によって違うので、股下まで見ると、2つの候補のどちらに寄るかの手がかりになります。
股下は、素足で壁に背中をつけて立ち、股に本を水平に当てて、床から本の上の面までの高さを測ります。
1人だと本が傾きやすいので、家族などに目盛りを読んでもらうと正確になります。
同じ身長向けでも、乗る姿勢は寸法で変わる
スタックとリーチの意味
メーカーのジオメトリー表(寸法表)には多くの項目が並びますが、姿勢を考えるときに見るのは主に次の2つです。

- スタック: クランクの軸(BB)の中心から、フレームの前の筒(ヘッドチューブ)の上端までの高さ。大きいほどハンドルを高くしやすい
- リーチ: 同じ2点の前後の距離。大きいほどハンドルが遠くなる
170cm向けのサイズで並べてみる
170cmが範囲に入る、TCR Advanced SL Disc(2024)のSと、RE6の470を並べます。
| 寸法 | TCR Advanced SL Disc(2024) S | アンカー RE6 470 |
|---|---|---|
| 適応(適正)身長 | 165〜175cm | 163〜176cm |
| スタック | 528mm | 566mm(ヘッドパーツ込み)、556mm(なし) |
| リーチ | 383mm | 370mm(ヘッドパーツ込み)、373mm(なし) |
| スタンドオーバー高 | 725mm | 723mm |
またいだときの高さ(スタンドオーバー高)はほぼ同じなのに、RE6のほうがハンドルの位置が高く、手前にあります。
RE6は体を起こした姿勢を取りやすい寸法、TCRは低く遠い、前かがみの深い姿勢を取りやすい寸法だと読めます。
スタックとリーチの測り方の前提(ヘッドパーツを含むかなど)はメーカーで違うことがあるので、数mmではなく、cm単位の差を目安に比べます。
サイズが変わると、付いてくる部品の寸法も変わる
完成車は、フレームのサイズに合わせて、ハンドルやステム、クランクの長さも変えてあることがあります。
| RE6のサイズ | ハンドル幅(芯-芯) | ステム長 | クランク長 |
|---|---|---|---|
| 390 | 380mm | 80mm | 165mm |
| 430 | 400mm | 90mm | 165mm |
| 470 | 400mm | 100mm | 170mm |
| 510 | 420mm | 110mm | 170mm |
小さいサイズほど、ハンドルの幅が狭く、ステムとクランクが短くなっています。
サイズを1つ上げ下げすると、手の幅や脚の回し方に関わる部品まで変わるということです。
試乗で確かめたいこと
サイズ表で候補を2つまで絞ったら、できれば両方に乗り比べます。

またがったときのすき間とサドルの高さの合わせ方は「ロードバイク初心者の選び方、サイズ・予算・買う場所の決め方」で手順にしているので、ここでは乗ってから見る点を挙げます。
合っているサインは、次のような状態です。
- ブラケット(ブレーキレバーの付け根)を握ったとき、ひじを軽く曲げる余裕がある
- 前を見たとき、首を強く反らさなくても視線が先まで届く
- ブレーキレバーに指が無理なく届き、しっかり握れる
- 10分ほど乗っても、手のひらや肩に体重が乗りすぎない
反対に、次のような感覚があれば、もう1つのサイズも試します。
- 腕が突っ張り、上半身を腕だけで支えている感じがする
- ハンドルが近すぎて、ペダルを回すとひざがひじに近づく
- 降りたあと、首の後ろや腰だけが強く張る
- サドルを大きく前後にずらさないと、ハンドルまでの距離が合わない
最後の項目は、フレームの大きさそのものが合っていないサインのことがあります。
部品で無理に合わせる前に、隣のサイズと比べてください。
フィッティングで変えられること、変えられないこと
買ったあとのポジション合わせは、店によって「フィッティング」「ポジション出し」などの名前で受けられます。
料金や内容は店ごとに違うので、申し込む前に何を見てもらえるかを確かめます。
部品で変えられる範囲と、フレームで決まってしまう範囲を分けると、次のようになります。
| 項目 | 部品の調整・交換で変えられるか | 補足 |
|---|---|---|
| サドルの高さ・前後・角度 | 変えられる(シートポスト・サドル) | カーボン部品は締め付けに注意 |
| ハンドルの高さ | ある程度は変えられる(スペーサー・ステムの角度) | フォークの軸(コラム)の長さで上限が決まる |
| ハンドルの遠さ | ある程度は変えられる(ステムの長さ) | 大きく変えると、ハンドルの切れ方が変わることがある |
| ハンドルの幅・レバーの位置 | 変えられる(ハンドル交換・レバーの調整) | レバーの調整幅は製品による |
| クランクの長さ | 変えられる(クランク交換) | 部品代と工賃がかかる |
| フレームのスタック・リーチ・スタンドオーバー高 | 変えられない | サイズ選びの段階で決まる |
サドルやステムのボルトを自分で触る場合は、締め付けの値を感覚で決めないでください。
値は部品に刻印された値やメーカーの資料に従い、トルクレンチがない、カーボン部品で値が分からない、という場合はショップで締めてもらいます。
締め不足は走行中にハンドルやサドルが動く原因になり、締めすぎは部品の破損につながることがあります。
フレームが合っていない場合、部品で合わせられる幅には限りがあります。
ステムを極端に短く、または長くしないと合わないなら、サイズそのものを見直す段階です。
乗っていて痛みやしびれが続くときの考え方は、「ロードバイクの乗り方の基本、姿勢・変速・ケイデンスとお尻や手の痛み」でも扱っています。
通販や中古でサイズを選ぶとき
またがれないまま買う場合は、身長の欄だけで決めず、寸法で比べます。
- 試乗できた車体があれば、そのモデルのスタックとリーチを控えておく
- 買いたいモデルのジオメトリー表で、2つの値が近いサイズを探す
- 股下の目安が載っていれば、自分の股下と比べる
- 2つのサイズで迷ったら、身長・股下と控えた寸法を販売店に伝えて相談する
中古は年式でサイズ表が変わることがあるので、出品者にメーカー名・モデル名・年式を聞いておきます。
中古の車体で確かめたい箇所は「中古ロードバイクの選び方、買う前に見るべき箇所と避けたい個体」にまとめています。
通販で買った車体のポジション合わせや組み立てを店に頼む場合、ほかの店で買った車体の持ち込みを受け付けるかどうかや料金は、店によって違います。
届いてから慌てないよう、注文する前に近くの店に電話で確かめておくと安心です。
サイズ選びでよく出る疑問
- 2つのサイズで迷ったら、小さいほうを選べばいい?
-
一概には言えません。
小さいサイズはハンドルが低く近くなり、大きいサイズは高く遠くなる傾向があります。
体を起こして乗りたいのか、前かがみの姿勢でもよいのかで、選ぶ側が変わります。
両方に乗り、ブラケットを握ったときに腕が突っ張らないほうを基準にすると決めやすくなります。
- 小柄な人向けのサイズはある?
-
多くのメーカーが小さいサイズを用意していますが、最小サイズの下限はモデルで違います。
RE6の390は適正身長が145〜158cmで、ハンドル幅380mm、クランク長165mmの組み合わせです。
150cm台の人は、最小サイズの範囲に自分の身長が入っているかを、モデルごとに確かめます。
- サイズの合わない車体でも、部品を替えれば乗れる?
-
少しの差なら、ステムやサドルの位置で合わせられることがあります。
ただ、またいだときにトップチューブが股に当たる、ステムを短くしてもハンドルが遠い、という場合は、部品では直しきれません。
候補が2つに割れたときの分かれ目は、身長の表ではなく、ハンドルの高さと遠さが自分の乗りたい姿勢に合うかどうかです。
参考にした資料
- ジャイアント国内公式サイト「TCR Advanced SL Disc Frameset(2024)」の適応身長とジオメトリー
- ブリヂストンサイクル公式サイト「ANCHOR RE6」のジオメトリーと仕様

