自転車が盗まれる場所として多いのは、駅前や繁華街だけではありません。
警視庁の発表資料(令和5年)では、自転車盗の被害場所のおよそ55%が、自宅(マンションやアパート、一戸建て)の敷地内でした(江戸川区の広報紙に掲載された抜粋より)。
盗まれた自転車の約6割は無施錠だったとも言われます。
ロードバイクの盗難対策は、外でも家でも鍵をかけることと、盗まれたときに持ち主だと示せる防犯登録の2本立てで考えます。
鍵の種類と、それぞれの特徴
自転車の鍵は、形によって重さや使える場面が大きく変わります。

| 種類 | 形 | 持ち運び | 固定物へのかけやすさ | 気をつけること |
|---|---|---|---|---|
| U字ロック | 硬い金属のU字の棒と本体 | 重めでかさばる。フレームに付けるホルダー付きの製品もある | U字の内側に入る太さの柵やポールに限られる | 輪が小さいと、柵とフレームを一緒に通せないことがある |
| チェーンロック | 金属の鎖を布や樹脂のカバーで覆ったもの | 鎖が太く長いほど重い | 長さがあれば柵や柱に回しやすい | 太さと長さで重さが大きく変わる |
| ワイヤーロック | 金属のワイヤーを樹脂で覆ったもの | 軽く、巻いて持ち運べる | 長いものは回しやすい | ほかの鍵と組み合わせる「2つ目の鍵」として使う |
| 折りたたみ式(ブレード)ロック | 金属の板をつないで折りたたむもの | 折りたたんでフレームに付けられる製品がある | U字ロックより輪を大きくできる製品がある | 製品によって大きさや重さに幅がある |
U字ロック(Dロック)とチェーンロックは、一般に防犯性の高い部類に入ります。
ただし、防犯性の高い鍵ほどかさばる傾向があります。
ワイヤーロックは、防犯性が中程度のものが多い鍵です。
鍵1つの施錠では簡単に盗まれてしまうので、ワイヤー錠などを足して2つの鍵をかける「ツーロック」にします。
防犯性能の表示を見る
鍵のメーカーによっては、製品ごとの防犯性能を段階で示しています。
たとえばドイツの鍵メーカーABUSの表示は1〜15の15段階です。
1〜4は盗難のおそれが低い場所向けの基本的なもの(子ども用自転車や補助の鍵など)、5〜9はエントリークラスの大人用自転車、または盗難のリスクが高い地域での2つ目の鍵向け、10〜15は高価な自転車や、リスクの高い都市部向けという区分です。
この段階は、そのメーカーの製品どうしを比べるためのものです。
メーカーをまたいで数字を比べず、同じメーカーの中で選ぶときの目安にします。
どんな鍵でも、時間と道具をかければ壊されるおそれがあります。
鍵は「盗むのに手間と時間がかかる状態」を作る道具と考え、止める時間と場所に合わせて組み合わせを変えてください。
鍵にかける予算の考え方
鍵にかける費用は、自転車の新車価格のおよそ10%がひとつの目安です。
15万円の車体なら1万5,000円、30万円の車体なら3万円ほどが目安になる計算です。
1つで予算を使い切るより、メインの鍵と軽い2つ目の鍵に分けると、止める場面ごとに使い分けやすくなります。
鍵のかけ方の手順
同じ鍵でも、かけ方で外しにくさが変わります。

柵や駐輪ラックなど、地面に固定された物とフレームを一緒に鍵でつなぎます。
車体だけに鍵をかけると、持ち上げて運ばれるおそれがあります。
固定物とつなぐこのかけ方は、「地球ロック」と呼ばれることもあります。
ロードバイクの車輪は、レバーで工具なしに外せる軸のものが多くあります。
フレームと一緒に前輪を鍵に通し、できれば2つ目の鍵で後輪もつなぎます。
種類の違う鍵を組み合わせると、外すのに要る道具と時間が増えます。
防犯性が中程度の鍵でも、ほかの鍵と組み合わせれば、盗む側にとっての障害が増えます。
ライト、サイクルコンピューター、サドルバッグなど、工具なしで外せる部品は、離れるときに外して持ち歩きます。
止める場所と時間で、対策を変える
鍵の数や置き場所は、止める時間と場所で決めます。
| 場面 | 考えたいこと |
|---|---|
| コンビニなどに数分 | 鍵をかけ、目の届く場所に止める。短い時間でも鍵をかけずに離れない |
| 職場や駅で数時間〜1日 | 止めてよい場所に限り、固定物とつないで2つの鍵を使う |
| 自宅の駐輪場 | 共用の場所でも鍵をかける。カバーをかけるのも有効 |
| 旅先・輪行先 | 宿に自転車を置ける場所があるか、予約の前に確かめる |
道路や駅前に止めたままにすると、自治体の条例で撤去されることもあります。
通勤で使う場合の駐輪の注意は、「ロードバイク通勤の始め方、準備・ルート・着替えと駐輪の注意」でも扱っています。
防犯登録の基本
法律で決まっていること
防犯登録は、「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」の第12条第3項で、次のように定められています。
つまり、新車でも中古でも、ロードバイクに乗る人には防犯登録を受ける義務があります。
ただし、この義務に罰則はありません。
防犯登録の目的は、盗難被害にあった自転車を早く持ち主の手に戻すことです。
防犯登録のない自転車は、盗まれた場合に見つけ出すのが難しくなります。
手数料と有効期間は、都道府県で違う
登録を受け付ける団体や手数料、有効期間は都道府県ごとに決まっています。
| 都道府県 | 手数料 | 有効期間 |
|---|---|---|
| 東京都 | 660円 | 登録した日の翌年から10年間 |
| 広島県 | 650円(新規登録) | 登録した日から20年 |
同じ全国の制度でも、有効期間が2倍違う例があります。
東京都では、期限が過ぎても乗り続ける場合は、新たに登録し直す必要があります。
住んでいる都道府県の警察や登録団体のページで、今の金額と期間を確かめてください。
手続きの場所と、控えのカード
自転車店で新車を買うときは、購入する店で手続きできる場合があります。

愛知県のように、地域の自転車取扱店で登録できるところもあります。
通販で買った場合、たとえば広島県では警察署の生活安全課でも手続きができ、自転車本体、購入を示すもの(販売証明書・納品書・購入履歴が分かるもの)、身分証明書を持っていきます。
都道府県によって窓口や必要な物が違うので、持ち込む前に確かめます。
登録すると渡される控えのカードは、なくさないよう保管します。
東京都の「自転車防犯登録カード(お客様控)」は、住所変更・譲渡・盗難届・廃車の手続きに必要で、再発行されません。
控えのカードは、スマートフォンで写真に撮ってから、保証書などと一緒にしまっておくと、いざというときに番号をすぐに伝えられます。
譲るとき・譲り受けるとき
広島県の場合、防犯登録の名義変更はできず、前の持ち主の登録を抹消してから、新しく登録し直す流れです。
中古で買う場合の書類のやりとりの手順は、「中古ロードバイクの選び方、買う前に見るべき箇所と避けたい個体」が参考になります。
盗まれたと気づいたときの手順
慌てて周りを探し回る前に、次の順に動くと、届け出に必要な情報がそろいます。
まず、止めた場所と、止めた時刻・なくなっていると気づいた時刻を思い出して、メモに残します。
撤去された可能性もあるので、止めていた場所の自治体が出している、撤去した自転車の保管場所の情報も確かめます。
交番や警察署で、盗難の届け出をします。
防犯登録番号、車体番号、メーカー名とモデル名、色、付けていた部品などの特徴を伝えられるよう、控えのカードや写真を用意します。
盗難を補償する保険に入っている場合は、補償の条件と、届け出の受理番号が必要かどうかを確かめます。
有料の駐輪場で起きた場合は、管理者にも伝えます。
いま手元でできる準備は、防犯登録の控えと車体番号を写真に残しておくことです。
車体番号がどこに刻まれているか分からなければ、購入した店で聞けば教えてもらえます。
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