ペダルを外そうと工具に体重をかけているのに、少しも動かない。
左のペダルでこうなったときは、力が足りないのではなく、回している向きが逆になっていることがあります。
左のペダルは逆ねじで、右とは反対の向きに回すと緩む作りだからです。
向きの見分け方を1つ覚えておけば、左右どちらのペダルも、工具の上側を車体の後ろへ倒す向きで緩みます。
作業を始める前に、ショップに任せる線を決める
ペダルは、走っている間ずっと体重がかかる部品です。
付け外しの作業そのものは難しくありませんが、ねじ山を傷めると、クランク(ペダルを付ける腕)ごと修理が必要になることがあります。
| 状況 | 自分でやってよい目安 | ショップに任せる目安 |
|---|---|---|
| 外す | 左右の向きを確かめ、工具がしっかり掛かる | 強く回しても動かない、工具が滑って掛からない |
| 付ける | 指で回してすっと入り、最後だけ工具を使う | 指で回すと途中で固くなる、斜めに入る感触がある |
| 締め付けの強さ | ペダルやクランクの説明書の値を確かめられる | 値が分からない、トルクレンチ(締め付けの強さを測る工具)がない |
| 付けたあと | 手で揺すってガタがなく、回したときに引っかからない | ガタつき、きしむ音、回したときのゴリゴリした感触がある |
ねじ山が傷んだかもしれない、ペダルが固くて回らない、付けたあとにガタつきや異音がある、という場合は、そのまま乗らずにショップで点検を受けてください。
締め付けの強さは、ペダルやクランクの説明書、部品に刻印された値に従います。
逆ねじの向きとL・Rの見分け方、ねじ山が傷んだときの対処は「ロードバイクのペダルとビンディングシューズ、初めての選び方と外し方」でまとめています。
使う工具は2種類
ペダルを回す工具は、ペダルの作りによって変わります。
自分のペダルの軸のまわりを見て、どちらの工具が掛かるかを先に確かめます。
ペダルレンチ
ペダルの軸の根元に、平らに削られた面がある場合に使うのが、ペダルレンチ(柄の長い薄いスパナ)です。

たとえば家庭向けのペダルレンチには、15mmの平らな面に掛ける作りのものがあります。
ふつうのスパナより柄が長く、てこの力をかけやすいのが特徴です。
平らな面の幅が狭いペダルでは、厚みのあるスパナでは入らないことがあります。
六角レンチ(アーレンキー)
軸の反対側、クランクの内側から見たところに六角形の穴があるペダルは、六角レンチで回します。

たとえば、この穴が8mmのペダルがあります。
ただし、6mmなど別のサイズのものもあるため、自分のペダルの説明書で確かめます。
ビンディングペダルには、平らな面がなく、六角レンチでしか回せないものもあります。
サイズの合わない六角レンチを差し込むと、穴の角をなめて回せなくなるので、奥までしっかり入るものを使います。
回す向きの覚え方
ねじの向きは、次のとおりです。
| ペダル | ねじの種類 | 外すとき | 付けるとき |
|---|---|---|---|
| 右(ギアのある側) | ふつうのねじ(右ねじ) | 右側から見て反時計回り | 右側から見て時計回り |
| 左 | 逆ねじ(左ねじ) | 左側から見て時計回り | 左側から見て反時計回り |
時計回りか反時計回りかは、見る側を間違えるとすぐに逆になります。
そこで、車体の横に立ち、工具を軸より上に向けて掛けたときの動きで覚えると迷いにくくなります。
工具の上側を、車体の後ろへ倒すと緩み、前へ倒すと締まります。
これは右のペダルでも左のペダルでも同じです。
ただし、クランクの内側から六角レンチを差し込むときは、見る向きが反対になります。
向きは、ペダルのある側から工具を見て判断するようにします。
内側から作業するときは、一度ペダルの外側に回って、向きを確かめ直します。
ペダルを外す手順
まず、車体を整備用のスタンドに載せるか、壁に立てかけて倒れにくい向きに置きます。
前のギアを変えるには、クランクを回しながら変速レバーを操作する必要があるので、後輪を浮かせられるスタンドがあると進めやすくなります。
そのうえで、前のギアを大きいほう(外側)に入れておきます。
手が滑ったときにチェーンリングの歯で手を切らないよう、この位置にしてから作業します。
工具を掛け、工具の柄とクランクの角度が90度以下になる位置を探します。
ペダルは強く締まっていることが多く、正しくてこを効かせることが重要です。
片手で工具を、もう片方の手で反対側のクランクを握り、2本の柄を近づけるように力をかけます。
こうすると、車体が回ってしまわず、力が工具に伝わります。
最初の固い部分を越えたら、あとは指で回して外します。
外したペダルは、左右が分かるように並べて置きます。
工具が滑ったときに備えて、手やひじが、チェーンリングやフレームの角にぶつからない向きで力をかけます。
勢いをつけて工具をたたく、足で踏むといった回し方は、工具が外れてけがをしたり、ねじ山を傷めたりするもとになります。
ペダルを付ける手順
付ける前に、ペダルの軸とクランクのねじ穴の汚れを拭き取り、軸のねじ山にグリスを塗ります。

グリスは、両方のペダルのねじ山にたっぷり塗るようにします。
グリスが入っていると、次に外すときにも固着しにくくなります。
左右は、軸や平らな面に刻まれた「L」「R」で見分けます。
刻印がなければ、ねじ山の傾きで見分けます。
左ねじはねじ山が左に向かって上がり、右ねじは右に向かって上がる傾きになっています。
傾きを見ても迷うときは、ねじ込む前にショップで確かめてもらいます。
付けるときは、最初の数回転を必ず指で回すのが、ねじ山を守るいちばんの方法です。
指ですっと入っていけば、まっすぐかみ合っています。
指で回して途中で固くなったら、工具で押し込まず、いったん外してやり直します。
最後に工具で締めます。
締め付けの強さは、一般的なペダルのねじで約360インチポンド(約41N·m)が目安です。
ただし、ペダルやクランクの説明書に値が書かれていれば、そちらに従います。
トルクレンチで測れない場合や、カーボンのクランクで扱いが分からない場合は、締め付けだけでもショップに任せる方法があります。
付け終わったら、ペダルを手で揺すってガタがないか、クランクを回して引っかかりや異音がないかを確かめてから走り出します。
固くて外れないときのよくある疑問
- 力いっぱい回しても動かない
-
まず、回している向きが合っているかを確かめ直します。
左のペダルを右と同じ向きに回していると、締める方向に力をかけていることになります。
向きが合っているなら、工具とクランクの角度を90度以下にして、反対側のクランクを握る形に変えてみます。
それでも動かなければ、それ以上の力をかけず、ショップに持ち込みます。
- 六角レンチの穴がなめてしまった
-
穴の角がつぶれると、同じサイズのレンチでも回せなくなります。
平らな面のあるペダルならペダルレンチで回せることがありますが、どちらも掛からない場合は、無理に削ったりせずショップに相談します。
- 外すときにねじ山から金属の粉が出た
-
ねじ山が傷んでいるおそれがあります。
新しいペダルを付ける前に、ショップでクランクのねじ山を見てもらいます。
傷んだねじ山は、専用の工具や修理用の部品が必要になることがあります。
外したペダルの扱い
ペダルを外す場面は、ペダルの交換のほかに、輪行袋に収めるときや、車体を箱に詰めて送るときなどがあります。

輪行袋に収めるときの荷物のまとめ方は「ロードバイクの輪行の方法、輪行袋の選び方と電車に乗るときのマナー」で扱っています。
外したペダルは、左右を別の小さな袋に入れ、袋に「L」「R」と書いておくと、付け直すときに迷いません。
ねじ山に砂やほこりが付いたまま付けると、ねじ穴を傷めるもとになるので、付け直す前に布で拭き、グリスを塗り直します。
出先で付け直す予定があるなら、家で使っているのと同じサイズの工具を持って出ます。
付け外しを何度もくり返す使い方では、そのたびにねじ山の状態を見て、金属の粉や引っかかりがあれば作業を止めます。
付ける途中で工具を握る前に、ひとつだけ確かめてください。
そのねじは、指で回してすっと入りましたか。
入らなかったなら、工具で力をかけずに外してやり直すか、ショップに任せます。
ペダルは交換できても、クランクのねじ山は元に戻らないことがあります。
参考にした資料
- Park Tool「Pedal Installation and Removal」(ねじの向き、L・Rの刻印、ねじ山の傾きでの見分け方、工具の角度、グリス、締め付けの目安、8mmの六角穴の例、ねじ山の修理)
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